福島県は事故当時18歳以下の子ども約36万人を対象に、甲状腺の超音波検査を行っている。1月までに約13万3千人が検査を受け、41・2%に2センチ以下の嚢胞や5ミリ以下のしこり(結節)が見つかった。 子どもの甲状腺をこれほど高性能の超音波機器で網羅的に調べた前例がなく、4割という割合が大きいのか、被曝(ひばく)の影響があるのか判断が難しい。このため、環境省は福島県外の長崎市と甲府市、青森県弘前市の3~18歳の子ども4365人を対象に、同じ性能の超音波機械を使い、同じ判定基準で検査をした。 この結果、2センチ以下の嚢胞や5ミリ以下の結節のあった子どもが56・6%、それ以上の大きさの嚢胞などがあった子は1%(福島は0・6%)いた。環境省の桐生康生放射線健康管理担当参事官は「福島も他県もほぼ同様の結果と考えている」と話す。 福島県では、事故の影響が出るか調べるため、約36万人の子どもを対象に生涯、検査を行う計画だ。 嚢胞などのある子が県外が福島より多い理由について、検査を受けた年齢構成などを詳細に分析して月内に公表するという。 長瀧重信・長崎大名誉教授は「超音波検査の性能が上がり、嚢胞などが見つかりやすくなった。福島が異常な状態ではないとわかった。ただし今回の調査では、福島の被曝の影響の有無は判断できず、長期間の追跡調査が必要だ。地域性もあるため、福島県で事故後に生まれた子への検査との比較が必要だ」と話す。