<震災関連死>福島県内で直接死上回る 避難生活疲れで 毎日新聞 9月8日(日)2時31分配信 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災者の死亡例のうち、福島県内自治体が「震災関連死」と認定した死者数が8月末現在で1539人に上り、地震や津波による直接死者数1599人(県災害対策本部調べ)に迫っていることが、毎日新聞の調査で分かった。少なくとも109人について申請中であることも判明。近く直接死を上回るのは確実だ。 長引く避難生活で体調が悪化したり、自殺に追い込まれたりするケースがあり、原発事故被害の深刻さが裏付けられた。 関連死の審査会を設置しているか、今年3月末までに関連死を認定したケースがある福島県内25市町村を調べた。復興庁が公表した3月末の関連死者1383人から5カ月で156人が新たに増えたことになる。 南相馬市が431人で最も多く、浪江町291人、富岡町190人--の順だった。年代別では回答が得られた355人のうち、80歳代以上233人(65.6%)▽70歳代79人(22.3%)▽60歳代32人(9.0%)などで高齢者が多かった。 死因については多くの市町村が「今後の審査に影響する」と回答を避けた。復興庁による昨年3月末のデータを基にした県内734人の原因調査では「避難所などの生活疲労」33.7%▽「避難所などへの移動中の疲労」29.5%▽「病院の機能停止による既往症の悪化」14.5%など。自殺は9人だった。 宮城県では今年8月末現在で869人、岩手県は413人だった。関連死申請の相談を受けた経験がある馬奈木厳太郎弁護士は「原発事故による避難者数が多い上、将来の見通しも立たずにストレスがたまっている。今後も増える可能性がある」と指摘している。【蓬田正志、田原翔一】 ◇ことば【震災関連死】 建物倒壊による圧死や津波による水死など震災を直接の原因とする死亡ではなく、災害により長引く避難所生活の疲労や震災の精神的ショックなどで体調を崩して死亡したケースを指す。明確な基準はないが、遺族が申請して市町村などが震災との因果関係を認定する。東日本大震災では福島県の場合、申請の約8割が認定された。市町村と都道府県、国から最高で計500万円の災害弔慰金が支給される。