<世の中ナビ NEWS NAVIGATOR> 経済協力開発機構(OECD)は24日、加盟30カ国の10年までの経済見通しを公表した。10年の日本の実質GDP(国内総生産)成長率は0・7%と、3月予測の0・5%減から大幅に上方修正した。過去最大となった経済対策の効果などを織りこんだもので、3年ぶりのプラス成長に転じると予測した。09年見通しについては今年3月予測の6・6%減から6・8%減に下方修正した。【上田宏明】 ◇「今年後半、景気底打ち」 加盟国全体の景気についても、在庫調整の進展や、中国など新興国の回復が追い風となると分析、09年、10年ともに上方修正した。09年の実質成長率は3月時点の4・3%減から4・1%減に、10年は同0・1%減から0・7%増へとプラス転換すると予測した。日本、加盟国全体とも、09年後半に景気が底打ちすると見ている。 ただ、「日本の失業率は10年末までに6%近くまで上昇し、デフレが定着する」と、日本経済の下ぶれリスクはなお強いと警告。景気を下支えするための財政出動が長期金利の上昇などを招きかねないことから、「経済の安定化につれて財政再建に焦点を当てることが重要」と、経済対策と財政健全化のバランスを取るよう求めた。 また、中国をはじめとする新興諸国の景気については、急回復しつつあると分析した。中国は大規模な金融・財政対策の効果で、実質GDP成長率が、09年は7・7%、10年は9・3%となる見通し。インドも09年5・9%、10年7・2%の成長を見込む。ロシアは09年は6・8%減のマイナス成長だが、商品価格の回復や景気刺激策によって回復に向かい、10年は3・7%の成長を確保するとしている。新興諸国の回復は、先進国の景気回復にも寄与することになりそうだ。