デメリット第一に、海外からの需要と輸出が減少し、短期的な経済成長目標の実現に影響しかねない。第二に、海外からの直接投資のコストを高め、新規の海外直接投資の取り入れを不利にさせる恐れがある。第三に、構造調整による短期的な失業問題をもたらす可能性がある。第四に、人民元相場に対する投機を誘発するかもしれない。第五に、為替レートの上昇によって輸出、ひいては投資が抑えられ、デフレがもたらされる可能性がある。メリット第一に、為替レートを実質均衡為替レートと同様な水準に調整しておくことは国内経済の資源配分における最も効率的な為替レート価格に到達したことを意味する。第二に、為替レートに対する積極的な調整は、通貨当局に金融政策の自由度を与え、マクロ経済の安定化には有利である。第三に、為替レートの切り上げは人民元の購買力を高め、国民の福利厚生の水準を上げるために有効である。第四に、為替レートの切り上げによって、中国の通貨当局は貿易黒字を狙っているのではなく、国際収支の均衡を政策目標に立てていることを市場に向かって宣言できる。このように、国際収支均衡という目標が明確になった為替レートの調整は市場からの支持を獲得するはずである。ファンダメンタルズに見合った為替レートの維持は通貨危機あるいは金融危機を回避するための最も根本的な対策である。第五に、為替レートに対する積極的な切り上げは貿易黒字を減らし、中国に対する貿易摩擦問題の改善にも役に立つ。つまり、メリットのほうが大きいと思う!